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1999年6月4日(金)

都内で月に2回行なっている稽古会に、大相撲の力士出身でヘビー級のボクサーを目指すY氏が、Dトレーナーとみえる。
切込入身、タックル潰し、クリンチ潰し、両手持の柾目返、小手返、上手投返、などを体験していただく。
それにしても、やはりプロの水で稽古を積んだ人の力は強力。切込入身では、切込まれずに完全に守り切ったのは、吉田健三氏唯1人で、他は、全員Y氏に切込まれてしまった。
ある程度の技も、強大な力の前には通用しない、という話を実証する結果となってしまった。
それだけに小柄な吉田氏が完璧に守り抜いて、Y氏に「いや、凄いです」と言わしめたのは見事。
私は幸い、先月、リングスの高阪選手らと手を合わせたお陰で、気づきがあり、左右の半身を微妙にズラせる段違いの雀足に実感が出てきたところだったので、Y氏に最初から思いきって横に払ってもらったり、両手で払ってもらったり、いろいろなパターンで試してもらったが、いずれも触れた瞬間に崩すことができたのには我ながら驚いた。おそらく、2ヶ月、いや1ヶ月前でも、こうは簡単にいかなかったろう。
調子に乗って相撲をとり、上手投を逆に返して投げたが、これはY氏が私の技に驚いたプラシーボ効果のせいもあったように思う。

ただ、少し前まで一番先端の研究であった壁突が解体しかけており、壁突に代って出てきた、突きの際の手や腕を解体して、目標のあたりで、再び組み立てる、という、説明している私自身もよくわけがわかっていない突が育ってきて、これが今後どうなるか、私も他人事のように興味をもってみている。

以上1日分/掲載日 平成11年6月10日(木)


1999年6月12日(土)

この日私は、ここ数年、私が最も思いを傾けて稽古研究している武術である手裏剣術で、30年以上にわたってずっと抱え続けてきた3つの難問のうち、最後に残っていた課題、解決への第一歩を踏み出すことができた。

ちなみにその3つの難問とは、まず、三尺程度の至近距離から、五間から六間(約11m)以上という手裏剣術における遠距離まで、すべてを同じ大きさ、同じ重さ、同じ重心位置の剣を使って、しかも同一の手之内、つまり掌の同じ位置に収めた状態で対応できないかということ。
2つ目は、日本の手裏剣術のなかで最も研究が進んだといわれる根岸流が、直打法で七間半(13m64p)が最長距離というが、それを越えるほどの距離から届かせられないだろうか、ということ。
そして最後は、手に直接剣を持って飛ばす手裏剣術は、掌の皮膚の状態、すなわち乾いて滑りやすくなっているか、汗などで滑りにくくなっているかによって、やりにくさが著しく違う。
掌が湿って、掌の上に置いた剣が滑りにくい場合は、乾いた掌なら六間でも通るような剣でも四間が精一杯で、それ以上は掌からの剣の離れの悪さで回転がかかってしまうのである。

さて、いま挙げた3つの難問は、手裏剣術には詳しくない一般の人々からしてみれば「なんだ、そんなことが大変なのか」と訝しく思われてしまうだろう。
つまりは、それくらいこの武術は、その基本的構造と身体操作法が知られていないのである。
ここでそれぞれの難問について、その難しさの理由を説き始めると、容易に終らなくなってしまうので、そういったことについては7月上旬刊行予定の合気ニュースの術理本に、ある程度詳しくは載せてあるのでご関心のある方は、それを読んでいただきたい。

さて、いま挙げた3つの課題のうち、2つまではなんとか目鼻がついてきた。
同一の剣、同一の手之内ですべての距離に対応するということも、かつてはとても不可能に思えたが、ここ数年の研究で一番難しかった中距離が通るようになり一段落したし、遠間についても最近9間を越えて通るようになった。
そして、最後に残ったのが、汗などで粘って滑りにくい手之内で中距離以上を利かせる、ということである。

もちろん、剣の方を荒いヤスリ目にして皮膚との接触面を減らす、という道具の方を工夫するという方法もある。
現に私も、剣の表面を研ぎ上げた状態ではなく、曇りガラスのようにサンド・ブラストを施し、ある程度剣が湿った指に貼りつくのを防止するような対策は講じている。
しかし、それ以上、道具の表面処理の工夫によって、この問題を解決するのは、私の感性が許さないのである。
なぜならば、手裏剣術の稽古は精妙な身体の規矩をつくることが何よりの目的であり、いたずらに道具の工夫に意を注ぐことは、当初の目的から外れてくるからである。
そのあたりの見極めを誤ると、いったい何の稽古をしているのかわけがわからなくなってくる。

さて話を戻すが、打剣時の掌の滑りの悪さをどう克服するかは、非常な困難を伴っていた。
それが、最近左右それぞれの半身を段違いに使うことによって腰に大きな割りを入れ、剣の打ちや、体術の突きの早さに一段階進展がみられたのだが、それをこの打剣にも応用したのである。
その結果、おそらくは腰に入れた大きな割りが、体全体のうねりを断裂させたためであろう。いままでなくそうとしても、どうしても消し去れなかったいわゆる投げ的なうねりが大幅に減ったのか、12日の夜、汗で粘った手之内でも四間以上、十分な抑えを利かせて通るようになったのである。

以上1日分/掲載日 平成11年6月24日(木)


1999年6月23日(水)

仙台でいつもどおりの1泊2日の稽古会(21日から22日)。
今回は浪之下、切込入身等いずれも腕の沈みに、肩と体の沈みがどううまく融合していけるかというところが一番のポイントになった。
これは手裏剣術で打剣時、体がうねり系の動きにならず、多段式に使えるかということと密接に関係しているようだ。
その手裏剣術だが、今回は仙台で23日に遠間を打つのにこれ以上はない、というほど環境の恵まれたところに思いがけず行き合い、時間が無いなか10数回試み、いままでで最長の17m60p余、つまりあと二尺で十間という記録を出した。あと、小1時間も試みる時間があれば十間は届いたと思う。
かつて直打法で遠間十間は夢のまた夢だったから、そういう意味では感慨深かった。

以上1日分/掲載日 平成11年7月6日(火)


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