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2013年5月12日(日)

ツイートで触れた関根秀樹和光大学非常勤講師の、「今を生きる人の集い」の広報宣伝文です。


「今を生きる人の集い」。人に話をすると、まあほとんどは「何か宗教?」と聞いてくる。
確かにネーミングはちょっとアレだが、中身は当代一流の武術家による身体技法講座あり、テレビで人気の精神科医による瞑想法講座(ああ、これもちょっと宗教っぽいイメージかなあ)あり。
そして世界的にも注目されるニホンミツバチの養蜂講座や、なぜか古代技術の火起こしや竹の民族楽器作りなんて不思議な講座もあったりします。
ちょっと普通ではない集まりですが、変な宗教や精神世界にかぶれた人の集まりではないのでご安心を。
もともと、「今を生きる」ということは、儒教の而今(じこん。今の今。まさに今。仏教的な読みでは にこん)、禅の神髄である「いま、ここ」(只今、即今)を生きることに通じます。
ジャズの世界でも、ライブ(LIVE)を「今の今」「時の時」と訳した人がいます。
くよくよと過去に執着しすぎず、未来をあまり思い悩まず、足元の今を、この瞬間を大事に生きる。
あたりまえのことなのですが、意外にこれが難しい。だから人は昔も今も、迷い、悩み、苦しみ続けるのでしょう。
光岡先生が「今の今を生きる」ことの重要性からこの集いを立ち上げたお気持ちはとてもよくわかります。
しかし、ごく一般的な人から見たら、「今を生きる」というテーマは、なんだか怪し気な宗教っぽさ、うさんくささを感じてしまうのでしょう。
あまりにまっとうな正論は時として煙たく、疎んじられやすいものだし。
さて、今回の佐世保での私の講座。
「原始技術史」の研究に基づく古代の火起こしは、実はすでに九州ではある程度根をおろしています。
宮崎県立総合博物館の分館である古代体験館(西都市)ができるとき、拙著『原始生活百科』が体験学習のたたき台にされ、職員の研修会に呼ばれて火起こしや石器作り、絵の具や土器作りなどの講師を務めました。
宮崎県立美術館や長崎県立美術館では、石や土や植物から絵の具を作り、竹や木で楽器やサウンドオブジェを作るワークショップもやりました。
楽器友達でもあった俳優の田中健 さん (福岡県八女市出身でケーナ奏者としても有名)とは、北海道や九州を健さんの車で演奏旅行したこともあり、その時も各地で火起こしの実演やワークショップをしました。
そもそも九州との縁は30年前、和光大学文学科の学生時代に、秋岡芳夫先生(工業デザイナー。当時は共立女子大学教授)のお手伝いで熊本県伝統工芸館の展示企画やイベントの運営に携わったのが最初。
その時鍛ってもらった川尻や人吉の刃物は、だいぶ研ぎ減りしましたが、今も愛用しています。
火起こしにせよ、楽器作りにせよ、30年以上続けるとそれなりに腕も上がり、知恵もわざも身につきます。
一応、「火起こし世界チャンピオン」ですので、一見の価値くらいはあるのかも。
さまざまな珍しい道具も持っていきますので、とりあえず参加費材料費以上におもしろいネタをたくさん持ち帰れること請け合いです。
長崎県は大村、島原、蚊焼と鍛冶屋が多く、おいしい世知原茶や彼杵茶もあるところ。
どんな出会いがあるか、楽しみにしています。
2013年5月

以上1日分/掲載日 平成25年5月12日(日)


2013年5月15日(水)

ツイートで紹介した白川真理女史から来たメール


不順な気候の5月となってしまいましたが、如何お過ごしですか。
いつも音楽家講座では、ありがとうございます。
先生とのご縁を頂きましたのが2003年春でしたが、あっという間に10年経ちました。
拙いなりにも、10年前とは全く別人、といっても良い程のフルートの進展もあり、充実の日々を送っております。本当にありがとうございます。

さて、本日はさらに嬉しいご報告です。
この節目ともいえる10年目、この8月に香川県高松市で実施される「第16回日本フルートコンヴェンションin高松」の実行委員会より、講座の依頼を頂きました。

これは日本フルート協会主催による、隔年ごとに実施されている大きなイベントで、様々なコンサート、コンクール、公開レッスン、講座等が実施されます。その中の講座のひとつとして、「古武術に学ぶフルート」を実施して欲しい、とのことでした。
私の講座は24日(土)の午前中に開催です。ただ、この講座はフルート協会員でないと参加できないのが残念ですが・・

私が高松出身、ということもありますが、こうして日本フルート協会から正式に依頼があったということが、この10年の活動を認めていただけた心地もし、とても嬉しいです。

次回の日本フルート協会会報に掲載するとのことで、講座紹介文の依頼がありました。

先生のお名前も登場させていただきましたので、ご一読頂き、もし不都合な箇所などありましたら、どうぞご指摘ください。
お忙しいところ、申し訳ございませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

白川真理

〔古武術に学ぶフルート 〜心の音をそのままに〜〕

誰しもみな、心に感じる、その人夫々の音を持っている。古今東西の名手、天才奏者というのは、その心に感じる音をそのままに表現できる人達ではなかったのか、とこの頃よく考えます。

凡人である私が2003年に偶然出逢った『古武術』とは武術研究家の甲野善紀先生が独自に古の武術の達人、天才達の伝書を紐解き、稽古の中で実践、研究されている技、術理のことです。 

「ねじらない、ふんばらない、ためない」「部分ではなく全体を協調させて使う」というこれらの実践を行ってきたことで、拙いながらも自身のフルート演奏にも多大な進展がありました。

20代の頃は90分練習するとと ても疲れていたのが、54才の現在は5、6時間でも平気ですし、むしろ吹けば吹くほど、身体が解けていき、調子が良くなっていく程です。5年前全く鳴らなかったロットも本番で使えるようになりました。

ここ数年は様々な気付きが加速度的にあり、その都度奏法も変化し、昨日まで出来なかったことが、スっと出来る様になるという不思議な日々が続いています。

最近の一番の成果は手裏剣と杖術からの応用で、楽器の重さが軽くなったということです。どこかの筋力を鍛えて、というのではなく、身体の滞りを減らし全体を協調させ、繋げて、道具(武器や楽器)と身体込みの釣り合いを作り出します。

これは古の武術家だけでなく、おそらく機械に頼ることの少なかった昔の農業、漁業、林業等に携わっていた市井の人々があたりまえに行っていたであろう身体の使い方ではなかったか、とも思います。

何かを付け足すのではなく、むしろ、自分の動きを阻害していた要因を剥がし手放していく。
本来備わっている機能をフル活用する技法と言い換えても良いかもしれません。

かつて自分が行ってきた「お腹の支え」にしても「リラックス」にしても主観的に行われる動作の多くは、身体を分断してしまう原因となる「偏ったふんばり」に他ならない、とも実感しています。

「お腹」は結果として力が集まるところであって、自ら力を入れる部分ではない。
「リラックス」とは身体全体が協調し釣り合った結果もたらされる心身の状態のことであり、意識的にヘナっと力を抜くことではない、と現在は認識しています。

ある程度の成果を挙げてきた技法(主観的「お腹の支え」や「リラックス」)、というのは中々手放せないものですが、私もこれらを手放すのに10年の時間が必要でした。

また、当然のことながら、ねじりやふんばりによる身体の滞りが減ることは、心にも大きな影響を及ぼします。本番で緊張し普段通りの演奏が出来なかった、というのは程度の差こそあれ誰しも経験があると思います。私もとても緊張する性質で、数々の失敗を繰り広げてしまっていたものですが、ここ数年はかつてのように胸がドキドキと鼓動することもなく、足や口元が震えることも、なくなりました。

本番時の独特な緊張感はあっても、それが心身に悪さをすることがなくなってきたのです。 振り返ってみると過度の緊張とは、ねじってためてふんばった身体があげていた声なき声、悲鳴の様なものなのかもしれない、とも考えています。

ふんばりやねじりが減り、緊張がもたらす身体の勝手な困った症状から解放されることにより、凡人なりにではありますが、以前よりは、心に感じる音、音楽をよりそのままに素直に表現できるようになってまいりました。元々が拙い笛吹きだからこそではありますが、いつでも「今がピーク」と言えるのはとても幸せなことです。

今回、これらの研究成果の一端を故郷高松のフルートコンヴェンションでご紹介させて頂けることをとても嬉しく光栄に思っております。どうぞ、お気軽にご参加ください。

自分よりも重い相手を片手でコロンとひっくり返す。まずは、そんな面白い経験をしていただければ、と思っております。ご自身が本来持っていらっしゃる力の再発見のきっかけとなれば幸いです。

白川真理

以上1日分/掲載日 平成25年5月15日(水)


2013年5月16日(木)

関根秀樹・和光大学非常勤講師からのメール


連続講座「教育と刃物」のお知らせ

日本エコツーリズムセンターというところが「教育と刃物」連続講座を企画し、第1回の講師を私が担当することになりました。
全国の野鍛冶を精力的に取材し、『鍛冶屋の教え』『はたらく刃物』『』など多くの著作のある畏友かくまつとむ(鹿熊勤)さんからの依頼です。

連続講座【教育と刃物】人類のマスター・ツール『ナイフ』の現状とこれから刃物と教育の事情に通じた講師12人による年間リレー式の連続セミナー(毎月第4金曜日19:00〜21:00)だそうで、回を追って銃刀法のこと、狩猟と刃物、鍛冶などがテーマになり、その道のプロが講師を務めるという、今どき骨のある企画です。
残念ながら現在の教育関係からこういう企画はまず出てきませんね。
会場にはかくまさんと私のコレクションから、珍しい刃物も展示する予定です。

連続講座『教育と刃物』人類のマスターツール「ナイフ」の現状とこれから
第1回 「人類と刃物〜考古学・人類学・身体科学の視点から〜」 関根秀樹

6月28日
 ◆第一部 初心者向け教室「クラフトで覚えよう! ナイフの使い方」 17:30〜18:50
 ◆第二部 トークセミナー『人類と刃物』  19:00〜21:00
参加費:各回 1500円(6回券割引 8000円)
場所:東京都荒川区西日暮里5-38-5日能研ビル
日本エコツーリズムセンター

申し込み:日本エコツーリズムセンター事務局
TEL:03-5834-7966 FAX:03-5834-7972
e-mail:desk@ecotourism-center.jp
http://www.ecotourism-center.jp/article.php/seminar130628

以上1日分/掲載日 平成25年5月16日(木)


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