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2009年4月8日(水)

 桜は一昨日の6日あたりが、私の家の近くでは一番開いていたようで、今日はかなり散ってきている。いずれにしても、ここ数日が一番見ごろだったと思う。そんな中の4月5日、新作刀の試し斬りのために、山梨のY刀匠の鍛練場にA女史とA女史の夫君N氏運転の車で伺った。同行は他にA女史主催の一風変わった会の会員の3名。
 この試し斬りの話は、すでに2年くらい前から依頼を受けていたような気がするが、なかなか都合がつかなかったのである。この日は私も折角伺うからには、かねてからお願いしたいと思っていた私の佩用の刀の焼き戻しをY刀匠にして頂くことにした。というのも、私が十数年使っている延寿宣次作の太刀は、どうも刃が硬いようで、かつて竹刀と当たって刃が僅かにこぼれたりした事もあり、一度油でゆっくりと煮て焼き戻しを誰かにお願いしたいと思っていたのである。
 中央高速を走る車窓から、山々の所々に咲く山桜がなんともいえない景色を作っていて、それらを眺めながら、A女史やN氏と話をしているうちに目的地に着く。到着後、昼食。そして一休みしてから試し斬りに入る。斬る物は、その辺に生えていたと思われるサワラの丸太。実際、いろいろと試みてみて、斬ることの難しさをあらためて実感する。
 その昔、径6センチくらいはあった杉の若木を一刀で斬り倒したことがあったので、結構いけると思ったのだが、なかなかこれが大変。まあ生えているのと、ただ立てかけてあるのでは、斬り易さはかなり違うだろうが、あらためて斬るという事に関して、まだまだ余りに分かっていないことが多い事に気付かされる。
 太刀の焼き戻しは丁寧にやって頂いて、反りが2ミリ近く伏さったような気がするから、やはり硬かったのだろう。帰って銅の棒を、この焼き戻しした太刀で削って具合をみたが、かなり刃に粘りが出たようである。"斬る"という事についても、あらためて検討してみたいと思っている。
 それにしても日本の春も変わってきたものだ。秋の虫の声はアオマツムシの大合唱で、他の虫の声が聞きにくくなってきているが、春はウグイスやヒヨ等の声はまだ聞けるものの、最近は圧倒的にガビチョウが多くなってきた。
 数年前、初めてガビチョウの声を聞いて驚いたが、今年は、いままでになくガビチョウがよく鳴く。そのうち、ガビチョウばかりになったら、さすがにこれは日本の春とは言えなくなるかもしれない。
 まあ、時代というのはそういう風に変わってゆくのかも知れないが…。

以上1日分/掲載日 平成21年4月9日(木)


2009年4月14日(火)

 いま私の机の上に、「山塩」と印刷された信州の南アルプス山麓で作られた塩の小袋が置いてある。こういう事には人一倍関心があるほうだが、いままで、信州の山奥で塩が生産されていることなど全く知らなかった。
 それにしても、自分でも驚いたのは、この塩を信州旅行に行ったMさんから贈られた時、何とも言いようのない不思議な興奮に襲われたことである。おそらく、この塩の小袋は、この先ずっと私の身辺にあって、この時の不思議な興奮を長く記憶に留める事になると思う。
 なぜ、この塩の小袋にそれほどの思いを私が抱いたのかは定かではないが、おそらくは「日本の山奥で塩が作られている?岩塩でもないのに!」という事に驚いた自分の驚き方が、何か非常に新鮮というか、私にとって意外だったのだろう。
 そして、その時の固定観念の外され方が、何かまったく思ってもみなかた新しい術理に気付いた時の印象に、似ているような気がする。
 そして、この事とリンクするかのように、昨日13日、久しぶりに大きな気づきを得た。つくづく得がたい人と御縁のあったことに感謝だが、今回はその気づきが尋常ではないだけに、感謝と同時に「どうして自分はこのようなキツイ役回りをさせられるのだろう」という嘆きにも似た思いがある事も否定できない。
 六旬を過ぎたというのに、本当にいつまで経っても初心者を続ける自分を見ることは、新鮮とは言えなくもないが、そろそろ自らの歩む道の確かさを掴みたいと思う。しかし、まあ自らの定めは、そう簡単には変えられるものではなさそうだ。
 それにしても今回気づいたことは、つい最近刊行となったちくま学芸文庫の『剣の精神誌』の増補改訂版に出ている無住心剣術の術理や、『願立剣術物語』で説かれていることを、あらためて実感させられて、やや呆然としている。

以上1日分/掲載日 平成21年4月15日(水)


2009年4月15日(水)

 私は昨日から身体教育研究所の野口裕之先生からの指示も頂いて、1年ぶりの禁糖に入った。約1年前に行なった禁糖がキッカケで離糖状態となり、その後、夏の暑さで果物だけは食べられるようになったが、秋に入っても菓子は要らない状態で、冬、春と来て、この間付き合いなどでごく少量食べたことはあるが、去年の春から今年の春にかけて食べた菓子は、それまでの年の1年間に食べた菓子の量の数十分の一だろう。したがって、禁糖するにあたって、かくべつ我慢することもなく、それどころか禁糖しようと決めた日から店に並んでいるケーキや菓子類が口に入れてもいないのに、見ているだけで口の中が甘ったるくなってきた。しかし、去年も感じたが、厳密に禁糖すると外で食べるものがなくて困る。
 昨日も午後、喫茶店に入って、コーヒーはきついし、ジュースは甘いし、仕方がないので、普段は好まないため自分から決して飲まない紅茶をとって、レモンを食べ、ポットの紅茶をさじ2杯ほど飲んで、その後大量に余ったので、隣の席ですぐに飲み物を飲み干して手持ちぶさたそうな年配の女性に勧めて店を出た。
 また、昨夜打ち合わせで入ったレストランで、サラダをとったら、ソースが自慢の店でソースやドレッシング無しといってもその希望が叶えられないので、仕方なくマヨネーズ和えの大根とニンジンのサラダを取ったが、マヨネーズの中の甘味が気になって、大部分は同行者に食べてもらった。
 しかし、こんな不自由な生活を始めて、昨日はほとんど昼一食だったのだが、自由ヶ丘での講座が終わって深夜に帰宅しても、それから2時間や3時間の講習会が出来そうなほど元気で、甘い物を止めるとこんなにも体が変わるのかと、あらためて驚かされる。
 いま食べられる果物は、店で売り物にならない昔のすっぱい夏ミカン。これが昨年は庭に200個ぐらいも実って、ちょうどよかったのだが、今年はその十分の一以下で、いまは熊本のMさんから、これと似たような昔の夏ミカンを送ってもらってしのいでいる。これがなくなったらレモンにでもしようと思っているが、もし昔ながらの酸っぱい夏ミカンの入手方法を御存知の方があれば教えて頂きたい。
 それにしても、そんな大きな仕事を抱えているわけでもないのに、在宅していると1日が昔の5分の1ぐらいの時間しかないくらい早く暮れる。お問い合わせも溜まっていて申し訳ないと思いつつも、とても手が回らない。お急ぎの方はお電話下さい。

以上1日分/掲載日 平成21年4月16日(木)


2009年4月21日(火)

 先週は、自分の技について根本的に考えさせられる事があり、そのお蔭で『願立剣術物語』の三段目にある「唯何トモナク無病ノ本ノ身ト成也」という一節が、かつてないほど心に染み透ってきた。そして、その染み透りが今までよりかなり私自身の心か体の(あるいは両方の)深いところまで届いたのか、19日に名古屋であった稽古、20日に千葉まで行った講座等を経て新しい気づきがあり、今日またそれが一段階明らかに前進した。
 しかも、今日の進展はいままで私が数え切れないほど体験したどの進展とも違い、その今日得た感覚で技を使おうとする時、何故か自分が高い山の頂とか、猛スピードで車が走り抜ける狭い道路の端ギリギリを歩くといった、そういった場に臨まなければ起こる事のない緊張を覚えるのである。
 もちろん技の利き方も違ってきた。とにかく、今あらためて思うことは、人間の心身の構造の複雑さと、その相関関係の密接さ、そしてその微妙さである。

 この先、これがどうなっていくのか、まったく見当がつきませんが、講座等で実際に触れて頂いた方には、いま私が感じている不思議な思いについて共有して頂けるかもしれません。(術理はとても抽象的で言葉になりません)
 私の講座や稽古会は、近くでは25日の四国、26日の京都、そして5月3日の仙台、4日の綾瀬とあります。その後は8日に池袋での定期講座を終わって、すぐ成田に向かい、9日から10日ほどフランスに行く予定ですので、6月まで当分講座や稽古会はありません。
 明日、私はNHKラジオ第一放送の『ラジオビタミン』の中の「ときめきインタビュー」に出演予定ですが、その前日にこのような事があり、昨日まで何となく用意していたコメントもかなり変わってきそうです。

以上1日分/掲載日 平成21年4月22日(水)


2009年4月23日(木)

 タレントの草g剛氏が酔っ払って公園で裸になって騒いだというだけで、日本中ひっくり返るような大騒ぎをしている。もちろん、それは破廉恥な行為に違いはないが、別に草g氏が誰かに怪我をさせたとか、第三者を巻き込んだ重大な犯罪や事故を起こしたという訳でもない。酒癖の悪い人間の中には、往々にしてこの程度の事をやるものがいる事は、多くの人々が知っていると思う。それなのに警察の家宅捜索まで入ったという。
 一体いつから日本はこんな権力濫用の恐ろしい国になったのだろう。裸になって騒いだというのは好奇の目で見られるスキャンダラスな事実だが、芸能ニュースの枠のなかに収まる話である。
 地デジ推進の顔として政府の仕事をしていた関連で、鳩山総務大臣まで「強い怒りを覚える」と発言していたが、そんなに酔っ払いが問題なら、もう酒も麻薬の一種として規制しないと辻褄が合わなくなりそうだ。
 それにしても一般人が裸で騒いでも家宅捜索されることはあり得ないだろう。あまりに草g氏の酔いがひどく、もし酒酔いだけではない麻薬の疑いがあったとしても、血液検査などで確かな証拠がなければ家宅捜索は出来ないと思う。
 今回の事件で最も気になる事は、一体どういう根拠から家宅捜索されたのか、ということである。それについてメディアは今後の報道では、十分に伝えるべきだろう。

以上1日分/掲載日 平成21年4月23日(木)


2009年4月30日(木)

 やっても、やっても、やらなければならない事が減ることはない。むしろ、色々と思い出してきて、何かやっている途中から「こっちの方の優先順位が高かったか」と思って、そちらをやり、そこからまた枝分かれして別の事をやったりしているから、本当に収拾がつかなくなっている。ひとつは間近に迫ってきたフランス行きの準備があるせいだろうが、その準備をする前に、しばらく日本を空けるので原稿や校正をやらねばならず、その他、諸々の企画や依頼の対応があって、これではフランスも、準備が整わないまま制限時間いっぱいになって、何とか行きつけたらいい、という状態になりそうだ。その上、豚インフルエンザの世界的流行で、帰りはなかなか飛行機から降ろしてもらえないかもしれない。

 このような状態ですので、私に何か依頼をされている方は、6日頃までに必ずお電話下さい。普段も御依頼に対しては常にお電話頂くようにお願いしておりますが、特に現在のような状況下では、こちらから連絡をとることは不可能ですので…。

以上1日分/掲載日 平成21年5月3日(日)


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